もしも、中国の古い宮殿から、果てしなく続くカルスト群を眺められたら。
深い山の中に建つ宮殿の回廊を歩き、朱色の柱の間から外を見ると、霧の向こうに無数の奇岩が浮かんでいる。
鋭く空へ伸びる山。
丸みを帯びた静かな山。
水墨画のように薄く重なり、遠くなるほど青く霞んでいく山々。
その景色は、巨大な自然の庭園を宮殿から見下ろしているようだった。
眼下には、カルスト群の間を縫うように細い川が流れている。
川面には淡い朝日が反射し、小さな舟がゆっくりと進んでいる。
宮殿の軒先には古い灯籠が残り、風が吹くたびに吊り下げられた飾りが小さな音を立てる。
豪華な玉座やきらびやかな宝物がなくても、この景色を眺められるだけで十分に価値がある。
晴れた日には、青空の下にカルストの山々がくっきりと並ぶ。
雨の日には、白い霧が谷を満たし、山の頂だけが雲の上に浮かぶ。
夕暮れには空が淡い金色に染まり、山々の影が川の水面に長く伸びていく。
季節や天気によって、同じ場所とは思えないほど景色が変わる宮殿。
そこには大勢の観光客も、大きな売店も必要ない。
古い木の椅子に座り、温かい中国茶を飲みながら、静かに山と霧を眺める。
時間を忘れ、何も考えずに過ごせる場所があればいい。
中国の宮殿から眺めるカルスト群。
それは豪華な建物が欲しいというよりも、壮大な景色の中で心を休められる、自分だけの特等席が欲しいという願いなのかもしれない。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
PR
よろしければ、
のぞいてみてください

0 件のコメント:
コメントを投稿