2026年6月9日火曜日
たれもいない町の大きな道路の交差点
町の真ん中に、
大きな道路の交差点がありました。
でも、そこには誰もいません。
車も通らず、
自転車も走らず、
人の声も聞こえません。
信号だけが、
赤になったり、青になったり、
黄色になったりしています。
誰も渡らない横断歩道に、
白い線だけがまっすぐ伸びています。
広い道路は、
どこまでも静かでした。
ふだんなら、
たくさんの人が行き交う場所なのに、
その日は町全体が眠っているようでした。
ビルの窓は閉じたまま。
店の看板は出ているのに、
中には明かりがありません。
バス停には誰も並んでいません。
風だけが、
道路のすみを小さくなでていきます。
こんな町があったら、
少しこわいかもしれません。
でも、少しだけ、
見てみたい気もします。
誰にも急かされず、
誰にもぶつからず、
ただ広い交差点の真ん中に立つ。
赤信号を見上げても、
止まる車はありません。
青信号になっても、
歩き出す人はいません。
町は何かを待っているようで、
それでいて、
何も待っていないようにも見えます。
もし、この交差点にひとつだけ欲しいものがあるなら、
それは大きな音ではなく、
小さな気配かもしれません。
遠くから聞こえる足音。
どこかの窓が開く音。
風に揺れる看板の音。
誰もいない町に、
ほんの少しだけ命が戻るような音です。
大きな道路の交差点は、
人がいないだけで、
まるで別の世界の入口みたいになります。
いつも見ている場所でも、
人が消えるだけで、
景色の意味が変わってしまう。
にぎやかな町も、
本当は静けさを隠しているのかもしれません。
その静けさの中に立つと、
自分の足音まで、
少し大きく聞こえそうです。
誰もいない交差点。
広すぎる道路。
止まったような町。
そこにあるのは、
ただのさびしさではなく、
何かが始まる前のような空気でした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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