2026年6月19日金曜日

バベルの塔

バベルの塔

もしも、空まで届く塔が本当にあったら。

一度は見てみたいと思います。

雲を突き抜けるほど高く、地上から見上げても頂上が見えない巨大な塔。

石を積み、階段を重ね、人の願いと欲望を何層にも積み上げたような建物です。

バベルの塔という名前には、どこか不思議な響きがあります。

ただ大きいだけではなく、人間が「もっと上へ行きたい」と願った気持ちそのものが形になったような存在です。

空に近づきたい。

神に近づきたい。

世界の中心に、自分たちの力を示したい。

そんな思いが、ひとつの塔に込められているように感じます。

でも、もし目の前にバベルの塔があったら、私は少し怖くなると思います。

あまりにも大きすぎる建物は、美しさと同時に不安も連れてきます。

人が作ったものなのに、人の手に負えないものに見えてしまうからです。

塔の下には、たくさんの人が集まっているかもしれません。

石を運ぶ人。

設計図を広げる人。

上を見上げて黙り込む人。

そして、完成することを信じている人。

けれど、塔が高くなればなるほど、人の声は届きにくくなっていきます。

下にいる人と、上にいる人。

作る人と、命令する人。

同じ塔を見ているはずなのに、だんだん見ているものが違っていく。

バベルの塔は、ただの巨大建築ではなく、人間のすれ違いも表しているように思えます。

便利なものを作るつもりが、いつの間にか目的が変わってしまう。

夢を追いかけていたはずなのに、途中から夢に追いかけられてしまう。

そういうことは、今の時代にもある気がします。

高い建物。

大きな会社。

終わらない競争。

数字を積み上げる毎日。

形は違っても、私たちは今でも小さなバベルの塔を作っているのかもしれません。

それでも、バベルの塔には惹かれます。

人間の愚かさだけではなく、夢を見る力もそこにあるからです。

届かないとわかっていても、空を見上げる。

無理かもしれないと思いながら、石をひとつ積む。

その姿には、少し切ない美しさがあります。

欲しいのは、完成したバベルの塔ではないのかもしれません。

本当に欲しいのは、空を見上げて「ここまで行けるかもしれない」と思える気持ち。

そして、高く積み上げるだけではなく、途中で立ち止まって下を見る冷静さ。

バベルの塔がもし目の前にあったら、私はきっと頂上よりも、そのふもとを歩いてみたいです。

積み上げられた石のひとつひとつを見ながら、そこに込められた人の願いを想像したいです。

空へ伸びる巨大な塔。

届きそうで届かない夢。

それは、少し怖くて、少し美しくて、人間らしい建物なのだと思います。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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