海の上に、ひとつの都市が浮かんでいた。
それは船のようで、島のようで、けれど今まで見たどんな町とも違っていた。
青い海の上に、白く美しい建物が並び、透明な橋がいくつも伸びている。
ビルの壁には太陽の光を集めるパネルがあり、屋上には緑の庭が広がっている。
遠くから見ると、未来の世界から流れ着いた大きな宝石のようにも見えた。
こんな海上都市が本当にあったら、一度は歩いてみたい。
朝は、水平線から昇る太陽を都市全体で迎える。
海面に光が広がり、建物のガラスに朝焼けが映り込む。
道路の代わりに、水上を静かに進む乗り物があり、人々は急ぎすぎることなく、海風を感じながら暮らしている。
街の中心には、大きな広場がある。
そこには噴水ではなく、海水をきれいに循環させる透明な水路が流れている。
子どもたちはそのそばで遊び、大人たちは海を眺めながらコーヒーを飲む。
未来の都市なのに、どこか静かで、人の暮らしの温かさが残っている。
夜になると、海上都市はまた別の顔を見せる。
強すぎない青や白の光が建物を照らし、海面には星のような明かりがゆっくり揺れる。
空には本物の星があり、下には都市の灯りがある。
まるで空と海の間に、もうひとつの星座が生まれたようだった。
きっと、こんな場所に住んでいたら、毎日が特別になるわけではないのだと思う。
買い物をして、仕事をして、誰かとすれ違って、疲れて部屋に帰る。
それでも窓の外に広がる海を見れば、少しだけ心が軽くなる。
未来の海上都市が欲しいと思うのは、ただ便利な暮らしに憧れるからではない。
海の上に浮かぶその町には、今とは違う生き方がありそうだからだ。
土地に縛られすぎず、空と海を近くに感じながら、静かに暮らしていく。
そんな未来が本当に来るのなら、一度くらいその都市の端に立って、広い海を眺めてみたい。
そして思うのだ。
人はきっと、どれだけ未来へ進んでも、最後に欲しくなるのは美しい景色と、心が落ち着く場所なのかもしれない。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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