2026年2月28日土曜日

あれが欲しいけど、とりあえず我慢している私

最近、私は「あれ」が欲しい。
具体的に何かと聞かれると少し困るのだけれど、とにかく「あれ」だ。
広告で見た瞬間、心が一歩前に出た。
理性は二歩下がった。
その結果、私はその場で静止した。

欲しい理由は山ほど思いつく。
きっと生活が豊かになる。
きっと毎日が少し楽しくなる。
きっと今の自分より、ほんの少しだけ格上になる。

でも同時に、いらない理由もちゃんと浮かぶ。
なくても困らない。
似たようなものをすでに持っている。
置き場所も微妙だ。

私はスマホの画面を見つめながら、ひとり会議を開く。
議長は欲望。
副議長は理性。
そして書記は、なぜか未来の私。

未来の私は言う。
「たぶん、なくても大丈夫だよ」
今の私は反論する。
「でも、あったらちょっと嬉しいよ?」

このやり取りを何度も繰り返し、最終的に私はこう言う。
「とりあえず、今日は我慢しよう」

そうしてカートからそっと削除する。
まるで恋人に別れを告げるみたいに。
たった数秒の関係だったのに、少し胸が痛む。

不思議なのは、買わなかったことで少し誇らしい気持ちになることだ。
大人になった気がする。
理性が勝った夜は、なぜか部屋が静かに見える。

でも正直に言うと。
明日また見に行くかもしれない。

「あれ」はまだ、そこにあるはずだから。
そして私はきっとまた、同じ会議を開く。

欲しいけど、とりあえず我慢している私。
その繰り返しのなかで、今日も少しだけ自分を観察している。

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