夜は、言い訳がうまくなる。
昼間なら笑って流せた欲望が、
なぜか真面目な顔でプレゼンを始める。
「これは浪費じゃない」
「未来への布石だ」
「自分を高めるためだ」
なるほど。
急にそれっぽく聞こえてくるから困る。
画面の向こうで輝く“あれ”。
少し高い。
でも“少し”だ。
この“少し”が曲者だ。
私は静かにうなずく。
これは投資だ。
自分への投資。
成長への投資。
明日の私への先行投資。
言葉を重ねるたびに、罪悪感は薄くなる。
魔法の呪文みたいだ。
本当の理由はもっと単純だ。
欲しい。
ただそれだけ。
でもそれだけでは心も財布も納得しない。
だから私は理屈をつくる。
効率が上がるはず。
時間が生まれるはず。
モチベーションが上がるはず。
“はず”が三つ並ぶと、だいたい怪しい。
決済ボタンの前で、もう一度つぶやく。
「これは投資です」
誰に向かって言っているのか分からないまま。
夜は静かだ。
だから自分の声がよく響く。
理性も、欲望も、どちらもはっきり聞こえる。
これは投資です、と自分に言い聞かせる夜。
本当に増えるのは資産なのか、
それとも経験値なのか。
たぶん答えは明日の私が知っている。
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