それは、心の中では完璧だった。
静かに輝いていて、
私の毎日を少しだけ底上げしてくれる存在。
「いいなぁ」
そう思っているあいだは、夢の中だ。
価格も重さも置き場所も、全部ぼんやりしている。
でもある瞬間、口に出してしまう。
「これ、欲しい」
その瞬間、空気が変わる。
魔法が解ける音がする。
値段が急に数字として立ち上がる。
クレジットカードの請求日が脳内カレンダーに表示される。
部屋のどこに置くのか、急に現実的な問題が会議に参加する。
さっきまでキラキラしていた“あれ”が、
急に具体的で重たい存在になる。
「本当にいる?」
「今じゃなくてもよくない?」
頭の中の現実担当が、容赦なく質問してくる。
欲しいと言った瞬間、現実を見る。
それでも不思議なのは、
完全に冷めきらないことだ。
少しだけ気まずくなりながら、
それでもページを閉じきれない。
未練がましくスクロールしてしまう。
たぶん私は、
現実を見てがっかりしているのではない。
夢と現実の距離を測っているのだ。
欲しいと言った瞬間、現実を見る。
それでもまた、
次の“欲しい”を見つけてしまうのが、私という人間だ。
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